OUTLINE
ー はじめに
ー 唯一無二の「エッジの無い靴」
ー NO-EDGEの秘密
ー 特別な足裏感覚
ー NO-EDGE 3モデルの味付け
ー おわりに
はじめに
福岡のボルダリングジムオーナーであり、LA SPORTIVAのセールスレップでもある小川慶士 氏による【クライミングシューズ解剖学】の第三弾。
今回は、今年4月にLA SPORTIVAサポートクライマーの山内誠 氏が北欧フィンランドの「Burden of Dreams(バーデン・オブ・ドリームス / V17・9A)」を世界6人目、日本人初完登した際の愛用シューズとして注目を集めるMANDALA(マンダラ)を中心に、NO-EDGEシリーズを大解剖していきます。
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MANDALA
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| アッパー | スエードレザー+マイクロファイバー |
|---|---|
| サイズ | Vibram XS GRIP 2 3.0mm |
| ソール | 34.5~46(ハーフサイズあり) |
| 重さ(1/2ペア) | 約240g |
| 生産国 | イタリア |
| テクノロジー | P3 SYSTEM / NO-EDGE/ VIBRAM XS GRIP2 |
唯一無二の「エッジの無い靴」
今回は、人気絶頂の「MANDALA」を軸に、「NO-EDGE」シリーズを掘り下げてみる。
NO-EDGE EVOLUTION(LA SPORTIVA JAPAN YouTube)

1999年発売の「初代MANTRA」から始まった、「エッジのない靴」という考え方は、2009年の「SPEEDSTER」で「NO-EDGE」というスタイルにつながり、その後「FUTURA」「GENIUS」「MAVERINK」と採用モデルを増やしてきた。
そして2024年に「MANDALA」が登場すると同時に、他のモデルもカラーが統一され、現在の形に落ち着いた感じだ。
ALL FUN, NO-EDGE.(LA SPORTIVA JAPAN YouTube)
NO-EDGEの秘密
ノーエッジ テクノロジーとは
つま先の鋭いエッジを排除し、薄く均一なラバーで指先を包み込む独創的なテクノロジー。岩と指先の距離を極限まで近づけることで、圧倒的な足裏感覚を実現する。あらゆる形状のホールドに「面」で密着するため接地面積が広く、滑りやすい局面でも高い摩擦力を発揮。エッジの向きを気にせず直感的に足を置けるため、動作はよりスムーズに進化する。素足のような感覚で岩を捉え、フットワークを次なる次元へ引き上げる。
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実は、この2024年のタイミングでLa Sportivaは全ての「NO-EDGE」モデルに、見えない改良を施している。その秘密は、アウトソールを剥がして初めて見える「ランドラバー」の巻き込み部分にある。
それまでの「NO-EDGE」モデルのランドラバーは、画像①のように「内側が波を打つような形状」をしていた。これを画像②のように、足指がホールドに触れる部分を可能な限りスムースな形状に変更することで、クライマーにとって大切な「より均一な踏み感」の実現を可能としたのだ。
この形状のラバーを、きちんと貼り付けるための切り込み部分の工夫等、「ブランドとして、NO-EDGEで本当に目指すところ」への追及には頭が下がる思いである。
また、見落としがちだがランドラバーも貼り付ける際に引っ張っている。
画像③を見ていただくと、アウトサイド側のランドラバーがどれだけ引っ張られているかご理解いただけると思う。(この引っ張り加減はモデルによって違い、「NO-EDGE」の中では「FUTURA」が最も引っ張り加減が弱い。)
特別な足裏感覚
「NO-EDGE」の最大のメリットは、足指とホールドとの近さである。エッジが存在しない分、ダイレクトにホールドを感じる事ができる。
もう一つのメリットは、「アウトソールとトウラバー」が一体であることだ。Vibram XS GRIP2を使用したこのパーツ、アウトソール部分の厚みは「3mm」(画像⑤)、ランドに重なる部分から先は「1.5mm」(画像⑥)になっている。
ランドラバーに比べ圧倒的にフリクションのあるVibramラバーが、連続して存在するわけである。しかもその部分が画像⑦のように曲面であるため、ホールドとの接地面積が広くなる事につながる。
そのため、立ち込んでいく際に生まれる力を、ホールドを捉えている「一点」だけではなく触れている部分すべてに伝えることができるため靴とホールドとの接点がズレにくい。特に、岩では大きな武器となる。
NO-EDGE 3モデルの味付け
また、「MANDALA」「FUTURA」「GENIUS」ともに、同じ素材・厚みのミッドソール(柔らかい素材)が入っているが、指先から少しずらした位置にあり、指先の感覚を保つ事に貢献している。
このミッドソールは、「MIURA」や「SKWAMA」に採用されているミッドソールとは違い、踏み込んだ際の「中足骨部分のサポート」を目的としている。
またこの3モデルは、「3mmのVibram XS GRIP2」「同じミッドソール」を採用しているにもかかわらず、剛性感が違うのも特徴である。「MANDALA」と「GENIUS」は、同じラストを使用しており、「FUTURA」よりターンインが強いのが特徴である。ターンインが一番弱い「FUTURA」が最もソフトに感じるが、アウトサイドは一番使いやすい。「GENIUS」は、左右非対称のレーシングシステムにより、指先からしっかり締め込む事ができるので足指の動きを抑える力が最も強く、前足部の剛性感は強く感じる。そして「MANDALA」は、最も剛性感を感じるモデルとなっている。
その秘密は、「ランドラバー」と「スリングショット」の違いで説明ができる。「MANDALA」のランドラバーは、アウトサイド側の巻き込み量が多く、「FUTURA」のそれと比較すると違いがある事が分かる。
また、「スリングショット」を比較すると、土踏まずの貼り始め部分は「MANDALA」が一番太いことが分かる。
重ねて比較した物を見ると、明確である。(ちなみに「GENIUS」のスリングショットが一番長い。つまり貼り付けの際の引っ張りが一番弱いためアーチシェイプは一番弱い事になる。)
つまり「MANDALA」は、他と比較すると「アウトサイド側」と「土踏まず部分」を強く仕上げてあり、全体の剛性感につながっていると言える。(トーションが強い)また、トウラバーの面積が大きいため、トウフック能力は抜群である。
話は逸れるが、画像⑪を見てもらうと、スリングショットの外周に「三角の出っ張りと凹み」がある。実はこの凹凸、スリングショットを貼り付ける際の個体差を可能な限り減らすための工夫なのだ。貼り始めの位置決めや、途中で通過するアッパーの縫い目に合う位置に施されている。
熟練した職人達により、一足ずつイタリアの工場で手作りされるスポルティバのクライミングシューズだが、ユーザーのためにできる努力を惜しまない心意気が、こういった細かな部分に見えている。
おわりに
このように似ているようで、味付けの違う「NO-EDGE」の3モデルだが、ターンインが強過ぎず最もソフトな印象を受ける「FUTURA」、レーシングシステムにより足指の動きを制限することで爪先にパワーを伝えやすい「GENIUS」、指先の感覚は鋭いのにトーションが強く剛性感を感じる「MANDALA」。
ぜひ、お試しいただきたいモデル達である。
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WRITER 小川 慶士 Keiji Ogawa 福岡県博多のボルダリングジムオーナーでもありLA SPORTIVAのセールスレップを務める。 |
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MANDALA
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GENIUS
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